女性にとって年齢をかさね、女性ホルモンが減少しさまざまな影響が出てくる更年期というのは気になる問題です。
この更年期の時期に目立つのは骨の密度が減少する「骨粗鬆症」ですが、歯科の病気である歯周病にも影響を与えることがわかってきました。
骨粗鬆症とは、骨の組織が弱くなり、骨密度が減少する疾患です。この疾患は女性に多く、特に女性ホルモン(エストロゲン)が減少する更年期に増加するといわれています。骨粗鬆症になり、その症状が進み骨の密度が少なくなれば口の中の健康にも影響を及ぼすことにもなります。
女性ホルモンの低下が、歯を支えるあごの骨の量を減少させるため歯周病を進行させます。
また骨粗鬆症にかかっている人は、歯周病にかかりやすく、重症化しやすい傾向にあることも忘れてはいけません。
また歯周病によって歯を失うと、かむ能力が低下して、食物の消化吸収力の低下を招きます。その結果、ビタミンDやカルシウム不足、低栄養となり、骨粗鬆症を悪化させることにもなります。
したがって、更年期の女性は特に、骨粗鬆症と歯周病のリスクを減らすように気をつける必要があります。
女性ホルモンの低下にともない、更年期以降はドライマウスの人が増えてきます。
ホルモンバランスが崩れるだけでなく、お口の自浄作用をもつ唾液が減ることにより、歯周病が進行しやすくなる傾向があります。
また、女性ホルモンが低下することにより、糖尿病やメタボリックシンドロームといわれる生活習慣病にかかりやすく、更に、歯周病があるとこれらの全身疾患を悪化させるリスクが高まるといわれています。
更年期の時期は、よく歯を磨いているつもりでも、歯周病にかかりやすい時期ですから、3か月から半年に一度は、定期的に歯科検診を受けるように心がけましょう。
骨粗鬆症の治療で骨の吸収を抑制する薬で治療を行っている場合があります。
その薬が歯科の治療における抜歯や外科処置後の治りを非常に悪くする副作用があるものがありますので、骨粗鬆症の治療や予防のために、お薬を整形外科や内科から処方されている患者様は、治療をお受けになる際には必ず骨粗鬆症の薬を内服している旨をお伝えください。
骨粗鬆症の治療で、ビスフォスフォネート系製剤を服用されている方は、歯科治療の前に、医科の主治医の先生と相談のうえ、抜歯・歯周病の治療の時期・進め方などを決定させていただきます。